立ち上げ5カ月で10万PVを達成しCV増加を実現。SEOだけでない”ユーザーファースト”を追求したオウンドメディア運用とは
(画像右)株式会社CDエナジーダイレクト リビング事業部営業第二部 川下様
(画像左)XINOBIX株式会社 代表 長屋
中部電力ミライズと大阪ガスにより設立され、首都圏を中心に家庭・法人向けの電力・ガスを提供する株式会社CDエナジーダイレクト。
これまで他のエネルギー会社同様に有料広告などの運用を行ってきましたが、更なる成長に向けて、新しいチャネルであるオウンドメディアの立ち上げを検討していました。
シノビクスではオウンドメディアの方針の決定からサイト制作、コンテンツ制作支援を行い、2023年8月時点で月間10万PV、電気・ガスの申込者数も右肩上がりに成長しています。
今回は、株式会社CDエナジーダイレクトの川下さんにシノビクスの支援で得られた成果や率直な感想を伺いました。
新たなチャネルとしてオウンドメディアを検討
—今回シノビクスにご依頼いただいた背景を教えていただけますか?
川下:マーケティング施策としては、主に顕在層、明確層を対象にした有料広告などを行っていました。しかし、競合他社同様に広告配信を行うため、市場自体がレッドオーシャン化しています。
そういった中で、電力会社をすぐに切り替えるモチベーションはないものの、電気代を下げたい人や電気代が高いと感じている人など、まだ切り替えを検討していない「潜在層」と接点をもつ必要性を感じていました。
広告を通じて潜在層と接点をもつことも検討をしたのですが、コストが高くなりすぎてしまうため、最も適している手段としてオウンドメディアを検討しました。
「なぜ、そのキーワードなのか?」の答えがあった
—シノビクスに依頼を決めた経緯を教えていただけますか?
川下:もともと電気代・ガス代を節約したいと思っている見込み顧客が普段どんなことに関心を持ってウェブ上で検索してるのかを、知見として社内でも蓄積したいと思っていました。そのため、内製化を検討していましたが、SEOのプロの知見も合わせて必要としていたため、全てを外注したいというよりは、一緒にオウンドメディアを運用する「半内製化」ができるパートナーを探していました。
そこで、大手のSEOコンサル会社も含めて6社ほどお話を伺ったのですが、半内製化を許容頂いた上でも充実したサポートをしてくれる企業がシノビクスさんでした。
それから、シノビクスさんの提案力の高さも大きな決め手となりました。
他社の提案はSEOのテクニカル施策を中心とした内容でした。私自身もSEOの経験があったので、それだけをお願いしたいとは思っていなかったんです。
「このキーワードで上位を目指すべきです」という提案を受けた時に、 「最終的にCDエナジーのお客様の申し込みに繋がるキーワードなのか?」を疑問に思うことがありました。
その点、シノビクスさんはオウンドメディアによってコンバージョンに貢献することを重視した提案で、細かくシミュレーションも組んでくださりました。「なぜ、そのキーワードを狙うべきか?」の答えを持っており、その際にいただいた提案資料が圧倒的に分かりやすかったことを覚えています。
長屋:ありがとうございます。お打ち合わせの際には、ベンチマーク企業やアフィリエイトサイトが多数ある中で、どのような戦略でオウンドメディアを展開すべきかを検討し、実際に目指せるポジションまで明確にして提案させていただきましたよね。
川下:そうですね。競合他社をリサーチしてデータをもとに目標を提示してくださり、「このキーワードは目指すべきでない」というように自社にはない切り口から提案してくれたのは印象的でした。
長屋:電力、ガス業界におけるSEOは、既に競合のオウンドメディアや、比較サイトが多数ある中で、どのように事業目標を達成していくべきかをご提案しましたね。
川下:あとは、長屋さんのX(Twitter)もチェックしていました。
発信内容を見ていて、普段からオウンドメディアについて追及していることが分かったんです。本当にオウンドメディアが好きなんだろうなと思いましたね。それが資料にも落とし込まれていたので、説得力がありました。
SEOだけではない、「ユーザーファースト」の視点が得られた
—プロジェクト開始後、具体的にどのようなことを行いましたか?
長屋:まず、オウンドメディアのゴールをどこにするかをご提案しました。電力やガス業界は検索数の多いキーワードは多いものの、直接的なコンバージョンには繋がりにくいだろうという見立てはありました。
そこで、顕在層、潜在層に対してそれぞれどのような獲得目標を置いていくのかをシミュレーションしました。
画像:成果シミュレーションの例
ゴールが決まってからは、オウンドメディアの方針を作りました。チーム全員でワークショップを行い、対象となるペルソナごとに、電気・ガスの申込までの行動を洗い出しました。この際、実際のユーザーに対してヒアリングを行い、ペルソナが妄想にならないよう裏付けを取りました。
同時進行でオウンドメディアのデザイン・開発も進め、2023年2月にオウンドメディア「コツコツCD」をローンチしました。そこからは、両社の定例MTGを通じてキーワードを決め、コンテンツを更新しています。
画像:コツコツCD
アクセスが増えてきてからは、コンバージョン率を高めるために、記事上のボタンやバナーのABテストをして最適なパターンを見つけるなど、PDCAを回しています。
川下:カスタマージャーニーのワークショップはとても印象に残っています。「どのキーワードが上がりやすいのか?」というSEOの視点だけではなく、そもそもお客様が必要としてる情報を届けることがオウンドメディアの価値だと思っています。
画像:ワークショップで活用したボード
カスタマージャーニーを作ることで、「見込み顧客は今何に悩んでいて、どのような情報が欲しいのか。」「その時にどのような比較検討をするのか」を議論できたのはすごく勉強になりましたし、コンテンツにも活かせていると思っています。
計画前倒しで月間10万PVを達成、一部の広告のCPAを下回る結果に
—オウンドメディアのローンチ後、どのような成果を得られましたか?
川下:もともと1年で12万PVを目標として置いていたのですが、リリースから5ヵ月ほどで10万PVまで到達することができました。まさかここまで早く上位表示されてアクセスが伸びるとは想定していなかったので、正直驚いています。
長屋:リリース直後から成果を出すことができましたね。サイトの基盤が既に充実していたことに加えて、コンテンツの品質やオリジナル画像、情報の信頼性やサイトの高速化など、SEO観点でやれることは一通り実施しましたね。
また、コンバージョンもしっかりと右肩上がりに増えています。オウンドメディアは広告のように、コンテンツを見てすぐにコンバージョンに直接繋がる割合は多くはありません。
そのため、初回のサイト訪問から最終的な契約に至るまでのカスタマージャーニーの中で、オウンドメディアの貢献度を測る「間接効果」をKPIの一つとして置くことを提案させていただきました。
これにより、電気の切り替えをまだ検討していない「潜在層」が、どの程度コンバージョンに寄与しているかを可視化することができました。
その結果、既にオウンドメディアの獲得CPAが一部の広告のCPAよりも安くなっていることが分かりました。
※オウンドメディアの獲得CPA=制作費用等を貢献したコンバージョン数で割った数
川下:「間接効果」をご提案いただいたことで、直接的なコンバージョンに繋がらない「潜在層」に対してもコンテンツを作るべきだということが分かりました。
「企業目線」な考えに「ユーザー視点」を与えてくれた
—今回のプロジェクトを振り返ってみて、印象に残っていることはありますか?
川下:常にユーザー目線で考えることをアドバイスいただきました。
「自社としてはこんな情報を出したい」という思いが先行したコンテンツは、どうしても一般のユーザーの方には専門的すぎる内容になることがありました。
そうなった時に、「ユーザー目線に立つと、こうした方がいい」と提案してくださったことがとても助かりました。
長屋:どうしても「自社が発信したい情報」と「ユーザーが知りたい情報」を橋渡しするには、客観的な視点が必要だと思います。弊社のディレクターからも、キーワード調査や競合調査などから読者が知りたい情報を理解し、しっかりとコンテンツに反映させましょうとお伝えしていましたね。
一方で会社としては、ユーザーが知りたくても出せる情報に制約があることもあります。そんな時は、「どこまでの情報なら出せるのか?」「エビデンスをどうするか?」を都度確認しながら、できる限りユーザーが知りたい情報をコンテンツに反映できるようにしました。
画像:記事制作ガイドライン
川下:会社として制約がある中で、コンテンツごとに内容を議論したり、修正したりするやり取りは大変でしたね。そんな中、コンテンツ制作のディレクション担当の方が、「引用時にはここに注意する」「調査データはここから取得する」というガイドラインを作ってくださったことで、徐々にスムーズにチェックが完了するようになりました。
あと、お客様の声が大切だと言ってくれたことも印象に残っています。「オウンドメディアを後発でスタートするのであれば、CDエナジーさんにしかできないオウンドメディアにするべきだ」と説得してくれたのは、シノビクスさんだけでした。
CDエナジーにしかできないことは、お客様との繋がりを大切にすることだと改めて分かりました。既存顧客の声が最終的な後押しに繋がるという視点をメディアに取り入れたとき、オウンドメディア運用を通じて全体的なマーケティング戦略の大きな視点が見えるようになったんです。
自社の独自性に寄り添ったオウンドメディア運用を求める企業におすすめ
—シノビクスのオウンドメディア支援サービスはどのような企業に合っていると思いますか?
川下:その会社にしかできないオウンドメディアを立ち上げ、運用したい会社におすすめです。シノビクスさんからはユーザー視点でご提案いただき、オウンドメディアを運用する理由を明確化できたのはシノビクスさんのおかげでした。
PVを増やすオウンドメディアの運用だけでなく、その先の成果やその企業ならではのオウンドメディアの運用に対して向き合ってくれたと思っています。
制作の中で方向転換することもあったのですが、柔軟に対応してくださったので心強いパートナーとなりました。
—インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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