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オウンドメディア

オウンドメディア運用のKPI設計とは?フェーズ別の具体的なKPI設定も解説

オウンドメディア運用のKPI設計とは?フェーズ別の具体的なKPI設定も解説

オウンドメディアのKPIとは、最終的なゴール(KGI)に到達するためにクリアすべき「中間目標」のことです。

「とりあえずPVを追えばいい」と考えてしまいがちですが、生成AIによる検索が台頭する現在、PVを追うことが事業の本質的な成長に直結しないケースが増えています。

オウンドメディアのフェーズによって、追うべき指標は「記事数」から「セッション数」、そして「CV数」へと変化していくからです。

本記事では累計100サイト以上のオウンドメディア支援に関わるXINOBIX(シノビクス)株式会社が、実際に現場で活用している「KPIツリー」を全公開します。

いつ、どの数字に集中すべきか?成果を出すための最短ルートを解説します。

目次

まず、KGIとKPIを正しく理解しよう

まず、KGIとKPIを正しく理解しよう

オウンドメディア運営で成果を出すには、KGIとKPIの違いを正しく理解し、適切な設定が必要です。

本記事では『最高の結果を出すKPIマネジメント』の著者である中尾隆一郎氏の定義に基づき、以下のようにKGIとKPIという概念を解説します。

項目定義
Goal最終的に到達したいゴール。例えば売上や利益、ユーザー数など
KGI(Key Goal Indicator)Goalを数値目標で表したもの
CSF(Critical Success Factor)Goal到達のために最重要となるプロセス。KFS(Key Factor for Success)やKSF(Key Success Factor)とも呼ばれる。
KPI(Key Performance Indicator)事業成功のカギであるCSFを数値目標で表したもの

出典:リクナビNEXTジャーナル|KPIとは?基礎知識や効果を生み出す設定プロセス・実践ノウハウを解説

KGIとは「最終的なゴールを数値化したもの」

KGI(Key Goal Indicator)は、プロジェクトの最終的なゴールを数値化した「重要目標達成指標」です。

オウンドメディア運営においては「何かを実現するためのゴール」の明確化が出発点となります。

基本的に、KGIは「オウンドメディア経由の売上金額」や「商談発生件数(リード数)」などが設定されることが多いです。

すべての施策はこの数値目標を達成するために実施されます。

KGIが曖昧なままでは、どれだけ記事を作成しても方向性が定まらず、リソースの無駄遣いになる恐れがあります。

まずは組織全体で目指すべきゴールを共有し、具体的な数値目標としてのKGI設定が重要です。

KPIとは「最も重要なプロセス(CSF)を数値化したもの」

KPI(Key Performance Indicator)は、KGIというゴールに到達するための「最重要プロセス(CSF)」を数値化した「重要業績評価指標」です。

単にプロセスを数値化するのではなく、ゴール達成において「最も重要なプロセス(CSF)」を見極め、数値化したものがKPIとなります。

例えば、KGIが「月間商談10件」なら、達成に必要な「検索順位」や「セッション数」などがKPIの候補になります。

KPIはあくまでKGIを達成するための中間目標であり、フェーズや課題によって追うべき指標を変える必要がある点に注意しましょう。

KPIを適切に設定すると、日々の業務がゴールに直結しているかを確認できます。

反対に、KPIが不適切だと努力が成果に結びつかない事態も起こり得ます。常にKGIとの連動性を意識した設定が必要です。

KPI設定は「KGI達成」を軸にした判断が必要

KPI設定で必要なのは、ゴール達成に対してインパクトの大きい施策の見極めです。

多くの指標を追うとリソースが分散し、運用が混乱します。

長屋智揮
長屋

「この数値を改善すればKGIが達成できる」というセンターピンを見つけ出し、集中的にリソースをかけることが、最短距離で成果達成につながります。

例えば、アクセス数は多いがCVしない場合は「CVR(コンバージョン率)」を、そもそもアクセスがない場合は「記事数」や「順位」をKPIにします。

現状のボトルネックを正確に把握し、最も効果的な一点に集中する戦略が有効です。

オウンドメディア運用にKPI設計が必要な2つの理由

オウンドメディア運用にKPI設計が必要な2つの理由

オウンドメディア運用にKPIが必要な理由は主に以下の2点です。

  • 投資対効果を説明できるため
  • うまくいっているのか・いっていないかがわかるため

1.投資対効果を説明できるため

KPIを設定することで、投資対効果の説明がしやすくなります。

オウンドメディアは成果が出るまで時間がかかるため、社内理解を得るための説明責任が求められます。

「300万円投資してどれだけのリターンがあるのか」と問われた際、KPIに基づいたシミュレーションがあれば「指定の記事数を公開すれば、将来的に指定のリード獲得が見込める」と論理的に説明でき、予算確保や継続的な運用がしやすいでしょう。

具体的な数値根拠を示すことで、経営層や他部署からの信頼獲得にもつながります。

感覚的な説明ではなく、データに基づいた予測を提示する姿勢が必要です。

2.うまくいっているのか・いっていないかがわかるため

KPIはオウンドメディアの健康診断のような役割を果たします。

目標数値と現状のギャップを可視化すると、運用が順調なのか、問題が生じているのかを客観的に判断可能です。

「記事数は足りているが、フォーム遷移率が低い」というような具体的なボトルネックが特定できるため、「フォームを改修する」「CTAまでの導線を改善する」などの的確な改善アクション(ネクストアクション)につなげられます。

定期的に数値をチェックし、早期に課題を発見できれば、失敗を防ぎやすいでしょう。

オウンドメディアのKPIツリーを全公開!集中すべきはこの指標!

XINOBIX(シノビクス)では、オウンドメディアのKPIを下記の図のように置いています。

長屋智揮
長屋

オウンドメディア運用の目的は企業によってさまざまですが、弊社では最終的な目的(=KGI)を「売上」への貢献として頂点に置く姿勢を重視しています。

オウンドメディア経由での売上は「CV(コンバージョン)数」「受注率」「受注単価」の要素によって決まります。

しかし、「受注率」や「受注単価」はセールス以降に委ねられるケースが多く、オウンドメディアのKPIとしては置きづらい要素です。

そのため、オウンドメディアを売上につなげるために置くべきKPIの頂点は、「CV」だと考えています。

オウンドメディアのKPI(自然検索アクセスの場合)

「CV数」を構成する要素として「フォーム訪問数」「フォーム送信率」があるように、さらにブレイクダウンしてツリー化していきます。

ただし、この段階では具体的なアクションまで見えないので、ブレイクダウンを重ねて最終的には記事制作本数などのコントロールが可能な行動指標まで落とし込む必要があります。

オウンドメディアKPI設定シート

オウンドメディアのKPIを設定する際に、弊社が活用しているシートの簡易バージョンをダウンロードいただけます。

KPI設定にお悩みの方は本テンプレートをご活用ください。

オウンドメディアのKPI設定シート

オウンドメディアKPI設定シートをダウンロードする

また、本内容を動画で確認したい方は、以下をご覧ください。

オウンドメディアのフェーズ別KPIと成果のイメージ

オウンドメディアは、フェーズに応じて追うべきKPIが異なります。各段階で適切な指標を設定し、着実に成長させることが求められます。

オウンドメディアのフェーズごとのKPI例(リード獲得型サイトのケース)
長屋智揮
長屋

弊社では「準備期」「立ち上げ期」「成長期」「成熟期」の4フェーズに分けて、成長フェーズごとにKPIを設定しています。

オウンドメディアを新しく立ち上げて間もないころは、アクセス数や検索順位が伸びづらいケースが多いです。

アクセス等の数値は実行したアクションの結果として現れる結果であり、初期段階からいきなり「アクセス数」や「CV数」などの結果KPIに設定しても、行動に落とし込みづらい場合があります。

最終的にアクセス数やCV数を増やす必要はありますが、準備〜立ち上げ期のころは結果KPIにはフォーカスせず、行動KPIを着実にこなす姿勢が結果につながります。

4つのフェーズについて、それぞれの特徴と設定すべきKPIを具体的に見ていきましょう。

準備期

フェーズ最優先事項具体的なKPI例
準備期体制構築ライター採用数、マニュアル作成数
運用基盤の確立記事制作フローの確立

準備期は、オウンドメディアを立ち上げる前の準備段階です。

準備期の最優先事項は、安定してコンテンツを生み出すための「制作体制の構築」にあります。

サイト自体がまだ存在しない、あるいは公開直後のため、アクセス数などの結果指標を追うのは不可能です。

そのため、編集者やライターの採用数、制作マニュアルの整備完了など、運用基盤を作るためのタスク完了をKPIに設定しましょう。

行動ベースでの進捗管理に集中すべきフェーズのため、まずは土台作りを徹底し、スムーズな運用開始を目指します。

準備期は数字よりも体制づくりに重きを置きましょう。初めにしっかりとした基盤を作ることで、後のフェーズでの成果達成につながります。

立ち上げ期

フェーズ最優先事項具体的なKPI例
立ち上げ期記事量産新規記事制作数
媒体力の向上記事数、ドメイン評価

立ち上げ期は、サイト公開から半年程度の期間を指します。

立ち上げ期では、Googleからのドメイン評価がまだ低く、記事を公開してもすぐに検索順位がつかないケースが一般的です。

そのため、アクセス数やCV数といった結果KPIに一喜一憂せず、まずは「記事制作数」などの行動KPIを重要視しましょう。

検索エンジンにサイトを認知させるため、一定の品質を保ちながらコンテンツの量を公開し、メディアとしての基礎体力をつける時期です。

まずは量をこなし、サイトの存在感を高める活動が必要となります。

成長期

フェーズ最優先事項具体的なKPI例
成長期流入・CV獲得セッション数、CV数
成果の最大化検索順位、CVR

成長期は、公開から半年〜1年が経過し、徐々に検索流入が増えてくる時期です。

記事が評価され始め、アクセス数やCVが目に見えて伸びてきます。

成長期の段階から「セッション数」や「CV数」などの結果KPIを本格的にモニタリング指標として組み込みましょう。

ただし、コンテンツ公開の手を緩めると成長が止まるため、新規記事の追加は継続します。

数値を見ながらCVR改善や導線強化などの施策を打ち、成果を高めるフェーズです。

成熟期

フェーズ注力ポイント具体的な施策
成熟期数値改善CVR改善、導線強化
質の向上有効リード獲得、リライト

成熟期は、運用が1年以上経過し、主要なキーワードでの上位表示が安定してくる時期です。

アクセス数の伸びは鈍化しますが、メディアとしての資産価値は高まっています。

成熟期では、単なるCV数の獲得だけでなく「商談につながる有効リード数」や「受注率」など、質の高い成果をKPIとして設定します。

また、過去記事のリライトや内部リンク最適化など、既存資産のメンテナンスに注力し、成果効率を高めていくことも重要です。

量より質への転換を図り、事業への貢献度を向上させていきましょう。

フェーズごとの特徴を理解し、適切な施策の実施が成功につながります。

自社のメディアがどの段階にあるかを見極め、最適なKPIを設定してみましょう。

オウンドメディアのKPIの算出ロジック

KPIの目標値を決めるには、論理的な算出ロジックが必要です。

感覚値で決めた目標は説得力に欠け、チームの迷いを生む原因となります。

ここでは、KPIを算出するための具体的な計算式と、必要な基礎数値について解説します。

  • KPIを設定する上で必要な情報
  • セッション数の算出方法
  • CV数の算出方法
  • AIの影響の考慮

KPIを設定する上で必要な情報

KPIを算出するためには、いくつかの基礎数値が必要です。

以下のような数値について理解しておきましょう。

必要な数値概要入手方法
検索ボリューム月間の検索回数キーワードプランナー
想定CTR順位ごとのクリック率一般的な統計データ
遷移率フォームへの移動率GA4などの解析ツール
CVRフォームでの完了率過去実績や業界平均

上記の数値を掛け合わせ、理論上の成果数値を導き出します。

正確なシミュレーションを行うためには、数値を可能な限り正確に収集する必要があります。

過去のデータや業界平均値を参考に、自社のサイトに適した現実的な数値を設定してください。

セッション数の算出方法

セッション数は基本的に「検索ボリューム×想定CTR」で算出します。

例えば、月間検索ボリュームが1,000のキーワードで検索1位(想定CTR20%とする)を獲得できた場合「1,000×20%=200セッション」が見込めます。

狙う全キーワード分を積み上げ、メディア全体の目標セッション数を設定しましょう。

キーワードごとのボリュームと難易度を考慮し、現実的に獲得可能な順位を想定して計算する点がポイントです。

また、すでにオウンドメディアを運用している場合は、Googleサーチコンソールを活用し、以下を見たうえで実データに基づいたKPIを算出します。

  • 実際に自社のサイトに流入している検索クエリ
  • 検索順位ごとのCTR

高すぎる目標はモチベーション低下を招くため、注意が必要です。

CV数の算出方法

CV数は「セッション数×フォーム遷移率×CVR」で算出します。

例えば、200セッションのうち5%が問い合わせフォームに遷移し、そのうち10%が送信完了する場合、「200×0.05×0.1=1件」のCVが発生します。

各ステップの歩留まり率を把握しておくと精度の高い予測が可能です。

また、どこでユーザーが離脱しているかを把握できると、改善すべきポイントが明確になります。

遷移率やCVRのわずかな改善が最終的な成果に大きな影響を与えるため、慎重な調整が必要です。

AIの影響の考慮

近年は生成AI(AI Overviewなど)の検索結果への表示により、検索順位が高くてもクリック率(CTR)は低下傾向にあります。

クエリによってはCTRが従来より30%程度下がる事例も出てきています。

そのため、シミュレーションを行う際はAIによるゼロクリック検索の影響を考慮し、CTRを以前よりも低めに見積もる調整が必要です。

楽観的な予測は避け、リスクを見込んだ計画を立てると、不測の事態にも対応できるでしょう。

常に最新の検索トレンドを注視し、柔軟に計画を見直してください。

【5ステップ】オウンドメディアにおけるKPI設定方法

オウンドメディアにおけるKPI設定方法

オウンドメディアにおけるKPI設定は、以下の5ステップで進めましょう。

  • ターゲットキーワード・記事数の洗い出し
  • 検索数×CTRでセッション数を算出
  • セッション数×遷移率×CVRでCV数を算出
  • CV数×商談化率(BtoBの場合)を算出
  • KGIを実現するための不足点の調整

1.ターゲットキーワード・記事数の洗い出し

まずは自社のターゲット顧客が検索しそうなキーワードを網羅的に洗い出します。

「顕在層(すぐに欲しい人)」と「潜在層(悩みがある人)」それぞれのニーズに対応するキーワードを選定し、対策するために必要な記事数をリストアップします。

このリストがシミュレーションの基礎データとなります。

キーワード選定はメディアの方向性を決める重要な作業です。

ユーザーの検索意図を深く理解し、漏れのないように抽出してください。競合サイトの分析も有効な手段です。

手順内容ポイント
キーワード抽出ターゲットの検索語句をリスト化顕在・潜在の両方を網羅
記事数算出対策に必要な記事数を見積もる競合分析も活用

このステップで土台を固められると、後の工程がスムーズです。時間をかけて丁寧に行いましょう。

2.検索数×CTRでセッション数を算出

洗い出したキーワードごとに月間検索ボリュームを調査し、目標とする検索順位に応じたCTRを掛け合わせて、記事ごとの想定流入数を算出します。

想定流入数を合計すると、メディア全体で獲得できる見込みセッション数が明らかになります。

ボリュームだけでなく、競合性も考慮して順位を予測することが精度向上のポイントです。

無理な順位設定は計画の破綻を招くため、現実的なラインを設定しましょう。

3.セッション数×フォーム遷移率×CVRでCV数を算出

算出したセッション数に対して、サイト内の回遊やCVポイントへの遷移率と、フォームでの完了率(CVR)を掛け合わせます。

過去の実績値や業界平均値を参考に数値を設定し、最終的にどれくらいのCV数(リード獲得数)が見込めるかを試算しましょう。

サイトの構造やデザインによって遷移率は大きく変わります。ユーザーが迷わずにCVポイントにたどり着ける導線設計も同時に実施することが大切です。

4.CV数×商談化率(BtoBの場合)を算出

BtoBビジネスの場合、CV(資料請求や問い合わせ)がゴールではありません。

獲得したリードのうち、何%が有効商談につながるかという「商談化率」を掛け合わせ、最終的なKGI(商談数や受注数)への貢献度を算出します。

KGIへの貢献度まで落とし込み、事業へのインパクトを可視化しましょう。

マーケティング部門とセールス部門が連携し、質の高いリードを定義できれば、成果達成までの時間を短縮できます。

ただし、マーケティング担当が営業に関連する数値を把握していない場合は、営業部の担当にヒアリングするなど、関係者との調整が必要になります。

5.KGIを実現するための不足点の調整

算出した数値が目標(KGI)に届かない場合は、以下のような調整を行います。

  • より検索ボリュームの大きいキーワードを狙う
  • 記事数を増やす
  • CV数を高めるためのホワイトペーパーを作る

目標達成に足りない要素を特定し、それを埋めるための施策をKPIに組み込みましょう。

シミュレーションと調整を繰り返していくと、実現可能性の高い計画が完成します。

複数のシナリオを用意しておくのもリスク管理として有効です。

【事例】オウンドメディアでKPI設計の具体例

ここでは、筆者が支援した不動産会社A社のオウンドメディアのKPIの設定を例に、典型的なパターンを紹介します。

オウンドメディア運用といっても、プロジェクトや事業の課題ごとに追うべきKPIは異なりますが、本事例ではコンテンツSEOをベースとしたKPIの設定手順を解説します。

図:KPIイメージ(再掲)

オウンドメディアのフェーズごとのKPI例(リード獲得型サイトのケース)

準備期のKPI(立ち上げ前)|行動KPIにフォーカス

行動KPI|ライター採用数4人、編集者採用数2人

結果KPI|なし

目標|コンテンツ制作体制の構築

まず、A社ではオウンドメディアの立ち上げが初めてだったため、コンテンツを制作するためのライターやデザイナーが全く足りていませんでした。

そのため、まずは編集チームを構築するため、ライターや編集者など制作に携わる関係者の採用人数をKPIとして置き、あらゆる採用媒体を使って人を集めました。

このように準備期(立ち上げ前)の段階では、まずコンテンツの制作体制を構築することに集中します。

あえてKPIとして置かなくても良いのですが、組織構築が最重要課題になります。

立ち上げ期のKPI(サイトリリース〜半年以内)|行動KPIにフォーカス

目標|量産体制の構築

行動KPI|新規記事数:月間10本(顕在層向け)

結果KPI|検索順位:公開後3ヶ月以内に30%のキーワードがTOP10入り、セッション数:5,000/月(6ヶ月目)

長屋智揮
長屋

私の経験上、オウンドメディアの成果を出すために、50本以上の記事は必要になります。そのため、立ち上げ期(サイトリリース〜半年以内)のフェーズで最も集中すべきは、記事数を増やすことです。

そのため、記事数が少ない段階でアクセス数を増やそうと別の手を打ってもあまり効果がありません。

実際にA社でも、記事数をKPIとして採用しました。特に「いますぐ客」を対象にした顕在層向けのコンテンツ制作を重視しました。

しかし、記事数を追求するあまり、質が犠牲になるケースもありました。

最終的には、月間10本程度の制作に落ち着きましたが、一時は毎月20〜30本を内製するという挑戦をするも、内容の薄い記事が量産されてしまい結局誰にも読まれないといったケースが頻発していました。

そのため、最初から数だけを追うのではなく、数と品質のバランスを取りながら、段階的に記事数を増やしていくことが必要です。

また、記事をリリースし始めたら、目安として検索順位の上がり方を確認してください。

記事を出してからすぐに検索順位がつくのか、そうでないかで、今後の施策のスケジュールも変わることがあります。

サイトリリース後に、現在うまくいっているのか・いっていないのかの目安としては、以下を参考にしてください。

【公開後1ヶ月以内のサイトランクの判断例】

ビッグキーワードで1ページ目に表示されている場合:サイトの評価が高く、記事を増やすほど成果が上がることが期待できる。

ロングテールキーワードで100位圏外の場合:サイトがまだ評価されておらず、記事制作と並行して被リンクも対策していく必要がある。

成長期のKPI(半年〜1年目)|記事数は落とさず結果KPIに意識を向ける

行動KPI|新規記事数:月間10本(潜在層向け)

結果KPI|CV数:物件資料請求10件、ホワイトペーパー20件、セッション数:2万/月

目標|アクセス、CVの創出

成長期(半年〜1年目)においては、結果KPIとなるセッション数やCV数を見ていきましょう。

長屋智揮
長屋

A社では、品質を保ったまま記事数の量産に成功して、業界でもトップレベルのアクセス数を達成することに成功しました。その甲斐あって、ちらほらと問い合わせも増えてきたのですがまだ月数件程度と目標に対して大きな乖離がありました。

そのため、流入したアクセスをCVに転換するため、ホワイトペーパーや物件ページヘの導線強化など、さまざまな施策を行いました。

結果、月間で数百件のCVが生まれるようなオウンドメディアになりました。

このフェーズでは検索順位やアクセス数などの結果KPIもチェックして、計画に対して上回ってるか、下回っているかなどを細かく見ていきましょう。

ただし、記事の月間公開数は一定の頻度を保ったまま行動量を減らさないように努めましょう。

たとえ成果が出ている場合でも、KPIとして設定した記事本数に達するまでは公開頻度を守るべきです。

成長期の後半はメディアごとの進捗状況によって課題が変わるものの、順調にアクセス数が増えてきている場合は、CVの導線も確認しながらテコ入れをしていきます。

ここでリードが生まれるかどうかが後々重要になるので、ホワイトペーパーや資料請求などを導線として設置しながら、リード数をしっかり確認しましょう。

成熟期のKPI(1年目以降〜)|結果KPIを追いつつ、課題に応じて行動KPIを設定

行動KPI|リライト数:月間5本、新規記事数:月間5本、ホワイトペーパー作成数

結果KPI|有効CV数(予算◯◯以上持っている方)

成熟期(1年目以降〜)で一定数の集客に成功している場合、「有効CV数」をKPIとして設置するケースがあります

全てのCV数を追うだけでなく、自社の顧客になりうるCVの獲得を目指します。

A社では、不動産購入予算が1000万円以上あるかどうかを有効リードの基準として設定して、その推移を追っていました。

長屋智揮
長屋

オウンドメディアでは広告のようなターゲティングが難しいため、CVの質を追い求めても、コントロールできる要素は限られていると感じました。そのため、CVの質をKPIとして設定する場合は、十分な数のリードをが生まれているかを確認しましょう。

成熟期以降では、以下のように、抱えている課題によって注力すべき内容が変わっていくことになります。

課題対策期待効果
順位低下リライトの実施順位回復、流入増
有効CV率低下コンテンツの見直しリードの質向上

上記の表のように、課題に応じた適切なアクションを選択することが重要です。常に状況をモニタリングし、柔軟に対応してください。

KPIをモニタリングするための計測・モニタリング体制

KPIを設定しただけでは成果は出ません。

設定した数値が順調に推移しているか、目標との乖離がないかを定点観測するための体制づくりが不可欠です。

KPIを正しく計測し、運用に活かすためのモニタリング体制について解説します。

KPIの進捗管理には適切なツールが必要です。以下のようなツールで計測を行いましょう。

ツール名主な用途
Googleアナリティクス4(GA4)サイト全体のアクセスやCV計測
Google Search Consoleキーワードごとの掲載順位確認
Ahrefs競合調査や順位定点観測

各ツールの詳細は以下のとおりです。

Googleアナリティクス4(GA4)

サイトに訪れたユーザーの行動を可視化するツールです。「どの記事でCVしたか」「どのチャネルから流入したか」など、セッション数やCV数の計測に不可欠です。

目標に対する進捗を定量的に把握するために使用します。

Google Search Console

検索エンジン側から見たサイトのパフォーマンスを確認するツールです。

「どんなキーワードで検索結果に表示されているか」「ターゲットキーワードの掲載順位は何位か」など、SEOの直接的な成果指標のモニタリングに必須です。リライトの判断材料としても重宝します。

Ahrefs(エイチレフス)

競合サイトの分析や、自サイトの順位定点観測に優れた有料ツールです。

自社だけでなく競合の流入キーワードや被リンク数も把握できるため、市場内での立ち位置を把握し、戦略的な意思決定を行うのに役立ちます。

上記のようなツールを組み合わせ、多角的にデータを収集します。

各ツールの特性を理解し、目的に応じて使い分けることがポイントです。

正確なデータ収集を行い、正確な意思決定を進めていきましょう。

計測頻度

モニタリングは「月次」での確認が基本です。

記事公開数などの行動KPIは週次で追うこともありますが、検索順位やセッション数は日々の変動に一喜一憂せず、月単位のトレンドで見ることが必要です。

毎月予実管理を行い、目標との乖離があれば翌月の施策で修正を図ります。

短期的な変動に惑わされず、長期的な視点を持つことがポイントです。定期的な振り返りの場を設け、チーム全体で数値を共有しましょう。

オウンドメディアのKPIで見落としがちな6つのポイント

KPIで見落としがちな以下のポイントに注意してください。

  • 同時に複数のKPIを追わない
  • 成果インパクトが小さいKPIを置かない
  • コントロール可能な領域に集中する
  • 直接CVだけを追わない
  • KPIを置かないという選択肢もある
  • カスタマージャーニーに基づくKPI設計も必要

1.同時に複数のKPIを追わない

各フェーズで追っていくべきKPIは、なるべく1つに絞りましょう

特に立ち上げ初期のフェーズでは、新規記事の公開に集中し、既存記事の改善やCV数といった他のKPIを追い過ぎないようにしてください。

KPIを同時に複数追ってしまうと意識が分散します。せっかく勢いに乗ってきたチームの動きを止めてしまう可能性があるので、KPIは「シンプル・イズ・ベスト」を胸に刻みましょう。

2.成果インパクトが小さいKPIを置かない

Google Analyticsを利用すると「エンゲージメント率」や「平均セッション継続時間」、「スクロール率」などさまざまな指標が目に入ります。

これらの指標に意識が向くと、どれが必要なのか判断しづらく、すべてが必要に思えてしまうかもしれませんが、これらの指標をKPIに置いたとしても、行動のアイデアは出しづらいです。

既に成果を出している記事をさらに改善しようとするフェーズでは、このような分析が有効ですが、そのフェーズにまだ達していない場合、記事数や検索順位といった成果につながる指標の改善を目指しましょう。

3.コントロール可能な領域に集中する

長屋智揮
長屋

KPIの設定は、関係者の「脳内シェア」を強制的に固定させる効果があります。関係者にはコントロール可能な領域に集中してもらう姿勢が成果につながります。

CV数やアクセス数といった結果KPIの数値ばかり設置してしまうと、直接的にコントロールのしようがないため思考が停止してしまいます。

特に初期の段階ではコンテンツの制作本数をはじめ、コントロールが可能なアクション数に重きをおくのが成果を出すためのポイントです。

4.直接CVだけを追わない

読者に役立つコンテンツを作っていると、計測ツールのデータだけでは説明のつかない成果も増えていきます

例えば、SNS上でシェアされていた記事を、先輩Aさんが同じ部署の後輩のBさんにシェアし、Bさんが問い合わせしたケースなどが考えられます。

オウンドメディアの成果をデータで計測できる範囲

一度セッションが切れたりCookieの保持期間が終わるとGoogleアナリティクス上ではCVが見えづらくなりますが、実際にCVしたユーザーの動向を調査すると、実はもっと手前の段階でコンテンツに触れている可能性があります。

関節効果の考え方

計測ツールのデータだけを見てしまうと、データで計測できない成果が過小評価されがちですが、CVに至るまでにオウンドメディアが接点をもっている場合、CVに貢献していると評価すべきだと考えられます。

また、データで見える数字だけでなく、見込み顧客にヒアリングしてオウンドメディアの貢献度を評価する、といった定性的な成果もみていきましょう。

ヒアリングといってもそんなに難しく考える必要はなく、商談で顧客に「問い合わせまでに見たページで覚えているものはありますか?」と聞くだけでも、

  • 「御社のブログを読んでます」
  • 「Webで〇〇を探していてHPを見つけました」
  • 「知人から御社の記事のリンクが送られてきました」

といった感じで、リアルな反響や認知経路を知ることができます。

5.KPIを置かないという選択肢もある

状況によっては、KPIを設置しないという選択肢があることもお伝えしておきます。

実際にKPIを置かずに成功しているオウンドメディアは存在します。

例えば、オウンドメディアなどを通したインバウンドの問い合わせで、年間数百件のお問い合わせを獲得している株式会社ベイジの扮谷さんは以下のようにKPIについて言及しています。

情報発信がすでに文化となっているような会社や、経営者自らが発信する方針をもっているような会社では、必ずしもKPIが必要であるとは限りません

KPIの置き方には、経営者の考え方が色濃く反映されます。

6.カスタマージャーニーに基づくKPI設計も必要

ユーザーは、課題に気づき(認知)、解決策を探し(比較・検討)、購入に至る(行動)というステップを踏みます。

そのため、すべての記事でいきなりCVを目指すのは得策ではありません。

例えば、「認知」段階のユーザーにはお役立ち記事でセッション数をKPIとし、「検討」段階のユーザーには事例記事でCV数をKPIとします。ユーザーの心理状態や検討フェーズに合わせて、記事ごとの役割と追うべき指標を変える設計が必要です。

オウンドメディアで成果を出すには適切なKPI設定が必要

オウンドメディアで適切なKPIが設定できると、フェーズごとに適切に課題を発見し、集中的に改善することで健全なメンタルで成果に向かうことができます。

本記事では、なるべく具体的なイメージを掴んでいただくために事例紹介もしましたが、「適切な数値かわからない」「KPI設計が合っているか不安」といった場合には、専門家の力を借りるのもおすすめです。

XINOBIX(シノビクス)では、100サイト以上の運営経験のあるコンサルタントが、立ち上げの段階から並走してサポートします。

ご興味のある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。


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オウンドメディアのKPI設計に関するよくある質問

Q.生成AIの影響でKPIを見直すべきですか?

はい、見直しを推奨します。

GoogleのAI Overview(生成AIによる回答表示)などの影響で、検索1位でもクリック率が低下するケースが増えています。

従来のCTR基準のままでは目標未達になる可能性があるため、セッション数の見込みを保守的に調整するか、検索流入以外のチャネル(SNSやメルマガなど)のKPI比重を高めるなどの対策が必要です。

ただし、AIOによって減ったアクセスは、実はコンバージョンにつながらない、本来は事業に貢献しないアクセスだけの可能性もあります。

AIOによるアクセス数の減少について

上記の画像のように、質の高いアクセスが集まっているという意味において、たとえアクセスが減ってもCV数が変わらないという現象が起きています。したがって、AIO登場前と比較してCVRを向上させる、というケースもあります。

AI時代のオウンドメディアの考え方については、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:AI時代、オウンドメディアが持つべき9つの行動指針

Q.PVとCVどちらをKPIにすべきですか?

XINOBIX(シノビクス)では、「CV(成果)」をKPIにすることを推奨しています。

PVはトレンドやアルゴリズムの影響を受けやすく、PVが増えても売上につながらないケースも多いためです。

ただし、立ち上げ初期や認知拡大フェーズではPVを指標にすることもありますが、常に「CVにつながるPVか?」という視点が必要です。

Q.KPIの数値目標はどう設定すればいいですか?

「積み上げ式」と「逆算式」の両方で検討します。

積み上げ式では、検索ボリュームや市場規模から現実的な数値を算出します。

逆算式では、事業目標(売上)から必要な商談数やリード数を割り戻します。

この両者の乖離を確認し、リソース(予算・人員)と照らし合わせて、現実的かつ挑戦的な数値を設定してください。

Q.KPIを達成できなかった場合どうすればいいですか?

未達の原因を分解して特定します。

「記事数が足りなかった(行動不足)」のか、「順位が上がらなかった(SEO要因)」のか、「順位は良いがクリックされない(タイトル要因)」のか。

要因によって打つべき対策は異なります。KPIツリーを辿り、どこのプロセスで詰まっているかを突き止め、改善施策を実行してください。

Q.検索数が少なすぎる市場の場合は、KPIをどう置けばいいですか?

検索ボリュームが少ないニッチ市場の場合、セッション数やPVをKPIにするとすぐに頭打ちになります。

その場合は、数値の「量」よりも「質」を重視します。

「指名検索数」や「特定の重要キーワードでの順位」「有効リード獲得率」など、ターゲットユーザーに確実に届いているかを測る指標をKPIに設定することをおすすめします。


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この記事の著者

長屋智揮

XINOBIX(シノビクス)株式会社 代表取締役。大阪府出身。同志社大学在学中にインドで情報誌の立ち上げを経験。卒業後にレバレジーズ株式会社に入社。2016年にXINOBIX株式会社を起業し、インド進出支援業をスタート。その後、英会話スクールの比較サイトを起業しウェブリオ(現GLASグループ)に売却。その間、複数の企業でインハウスのSEO責任者や事業部長を経験。2021年に再度当社を専業とし、現在はコンテンツマーケティング支援業を行う。趣味は釣り。

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