オウンドメディアが意味ない8つのパターン!いる・いらないを判断しよう
マーケティングやブランディング施策として、軌道に乗れば様々な相乗効果が見込めるオウンドメディア。しかし、経営者や担当者の方の中には
「自社にとって、 オウンドメディアは意味があるの?」
「そもそも今後はSNSに投資した方がいいんじゃないか?」
「オウンドメディアを立ち上げたけど、一向に成果が見えない…」
このような疑問や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。たしかに、オウンドメディアの価値を発揮するためには、ある程度のコストや手間をかける必要があるのは事実です。一方で、適切な運用ができれば、事業を大きく伸ばすきっかけとなってくれることも。
本記事では、これまで多数のオウンドメディアのプロジェクトに携わってきたXINOBIX(シノビクス)が、オウンドメディアが「意味ない」といわれてしまう理由をパターンごとに分析してご紹介します。後半では自社にとってオウンドメディアが必要かどうかを見極めるポイントも解説するので、参考にしてみてください。
目次
オウンドメディアをやる目的とは認知・コンバージョンへの貢献
オウンドメディアとは、狭義には企業が所有するWebサイトやブログのことを指すことが多く、広義ではSNS、YouTubeといった、自社でコントロールが可能なメディアのこと。本記事では企業が所有するWebサイトにて情報を発信する活動のことをオウンドメディア運用と呼びます。
オウンドメディアを運用する最大の目的は、「認知・コンバージョンへの貢献」です。他にもブランディングや採用や社内教育を目的としたオウンドメディアもありますが、企業として運営する以上は経済的なリターンが求められます。そのため、投資に対してリターンが生まれない場合、「意味がない」状態に陥ってしまうことになります。
オウンドメディアが意味ない・いらない(=リターンが得にくい)8つのケース
ここからは、オウンドメディアが「意味ない」状態、言い換えると投資に対するリターンが得られにくい状態に陥ってしまうケースを8つのパターン別に解説していきます。
1.投資が3年以内に回収できる見込みがない
オウンドメディアを立ち上げる目的によりますが、売上への直接的、間接的な貢献が見込まれない場合、立ち上げても意味がないと思うのは自然なことでしょう。
弊社の場合は、オウンドメディア立ち上げ後、2年〜3年でどれくらいの成果が見込めるかをシミュレーションをします。
図:シミュレーションの例
その際、かけるコストに対して売上への貢献が生まれるかを次のような軸で判断します。
- 検索エンジンなどを通して十分なアクセスが得られるか
- アクセスによってコンバージョン(購入、問い合わせ)が生まれるか
- コンバージョンが生まれた結果、投資に見合う売り上げが生まれるか
これらは、その業界における顧客の行動特性、競合サイトのSEO的な強さ、商品の単価や売れやすさなど、総合的な観点から判断する必要があります。
オウンドメディアのKPIやシミュレーションの考え方についてはこちらの記事もご覧ください。
2.短期的な費用対効果で成果を測る
オウンドメディアを立ち上げた初期の頃から費用対効果を期待してしまうと、思うように成果が出ていないと感じる場合があります。
しかし、オウンドメディアは立ち上げてすぐに効果が出るものではなく、成果を上げるためにはある程度の期間がかかることを押さえておく必要があります。
各メディアによって状況は異なるため一概にはいえませんが、目安として少なくと成果が目に見えて生まれるには1年程度の期間が必要です。
短期的な判断で運用を取りやめてしまうと、それこそ意味のない結果となってしまいます。初期段階で目に見える効果が出ていなくても、適切な運用と評価を継続することで将来的に投資対効果を回収できる可能性は十分にあるでしょう。
3.直接的なコンバージョンのみを評価する
オウンドメディアや記事内で発生するコンバージョン数をGoogleアナリティクスの「ページ」「コンバージョン」の組み合わせのみで判断すると、どうしても低くなりがちです。
なぜなら、Googleアナリティクスで記事から発生した「ページ」「コンバージョン」で見たコンバージョン数だけを成果とみなしてしまうと、同一セッション(デフォルトでは30分、最大7時間55分)以内で発生するコンバージョン数に限定されてしまうからです。
※現在弊社でもGA4を活用した記事の最適な評価をも模索中です。ご意見あればお問い合わせくださいませ。
ツールによっては「6ヶ月前にどの記事を見ていたのか」といったデータは出せますが、ツールの導入が難しい場合、できることならお客様に「どこで弊社を知りましたか」という趣旨のアンケートをとり、そこに自社のオウンドメディアが触れられているかを見るのも良いと考えています。
4.ズレたターゲットばかりを狙っている
オウンドメディアにコンテンツを投稿しているが、自社の商品・サービスを必要としていない人にばかりに届いてしまっているケースです。一見、アクセスは増えるためにうまくいった錯覚に陥りがちですが、蓋を開けると売上への貢献からはほど遠いものになりがちです。
例えば、同じ英語学習をテーマとしたコンテンツでも、次の2つのターゲットでは読者が異なります。
- テストで出てきた英単語の意味を知りたい高校生
- 2カ月後に駐在が決まり、短期でできる英語学習法を探しているビジネスマン
英語学習サービスを運営している場合、顧客になるのは高校生ではなくビジネスマンです。
このように自社の顧客からズレたターゲットにばかりコンテンツを届けている場合に効果が薄いものとなります。
5.顧客が検索エンジンをあまり使わない
オウンドメディアの集客経路としては検索エンジンがメインとなるケースが多いでしょう。
そのため、自社やサービスの属する業界に検索エンジンを使って情報収集している人が極端に少ない場合は、検索に依存せず他の集客経路を開拓するなど戦略上の注意が必要です。せっかくオウンドメディアを立ち上げても集客に繋がらず、最終目的となる売上にも貢献できない場合があります。
このような事例では、オウンドメディアにわざわざ投資をする意味がないケースもあるため、導入自体を慎重に検討する必要があります。
6.質の低いコンテンツを量産する
私の体感では、5〜6年前には、格安の制作代行などに依頼してコンテンツを量産するだけで、多少質が低くても検索結果の上位表示を狙える時代もありました。
しかし、Googleのアップデートが重ねられた現在では、これらはすでに通用しづらい手法だと感じます。近年では生成AIを活用した記事制作も流行っていますが、企業としてAIだけを活用する方針には様々なリスクが伴うため、現時点ではあまり推奨ができません。
また、たとえ短期的な効果が得られた場合でも、ユーザーニーズに鑑みないコンテンツを量産していてはコンバージョンにも繋がりません。弊社としては手間やコストはかかっても、ユーザー目線のコンテンツを作成していく方が結果的に近道になると考えています。
7.自社のサービスが固まっていない
たまにいただく相談で、自社の事業やサービス内容が固まっていない状態でオウンドメディアの運営をしたいといったものがあります。
具体的には以下のような状態です。
- 立ち上げたばかりの企業で何の事業をやりたいのか定まっていない
- サービスのリリース前で売れるかどうかわからないけど、オウンドメディアを立ち上げておきたい
- とりあえず対象になりそうなユーザーを自社サイトに集客したい
上記のような状態でオウンドメディアを運営しても、本質的な制御に繋がらない雑多なアクセスばかりが生まれて リターンの薄いメディアができてしまいます。また、具体的な目標がなければ成果を計測することも難しいでしょう。
オウンドメディアの設計フェーズでは売りたいサービスや商品の内容から逆算してコンテンツの内容を検討していくため、このようなケースでは 商品やサービスの完成、 ランディングページの作成を最優先にすべきです。
8.競合が強い業界に 新規ドメインで参入する
新規参入の難易度を理解していないために成果が出づらいパターンもあります。
Googleが重要視する基準に「E-E-A-T(※)」があるように、SEOでは権威性や信頼性、専門性がこれまで以上に重要となってきています。
そのような中で、例えばいきなり新しいドメインを取得してオウンドメディアを立ち上げても、人気のキーワードや競合が強い業界では太刀打ちできない可能性があります。
競合が強すぎて 太刀打ちができない ケースとしては、具体的には以下が考えられます。
- 創業間もない不動産会社が、不動産売却に関するメディアを作るケース
- 人材紹介業として新規参入し、求職者をオウンドメディアで集めるケース
参考として、以下の図は、BtoBの業界ごとに競合サイトの上位10サイトの強さとして、ahrefsのドメインランク(以降DR)を比較したものです。
図:業界ごとの競合サイトの強さ(DRが高いほど、競合が強い傾向にある)
業界 | キーワード | 月間検索数 | TOP10位DR |
---|---|---|---|
法務 | 秘密保持契約 | 8,100 | 62 |
人事 | 相対評価 | 5,400 | 58 |
マーケティング | コンテンツマーケティング | 6,600 | 55 |
物流 | マテハン | 6,600 | 44 |
製造 | 板ばね | 6,600 | 36 |
出典:ahrefsのデータを元に、上位10サイトのドメインランクを平均
法務、人事、マーケティングといった業界ドメインランクの高い競合が多く、検索上位を狙った熾烈な争いが繰り広げられています。
一方で、物流、製造などの産業であれば、SEOに投資する競合の数が比較的少なく、しっかりと投資をしていけば、検索上位に上がる可能性は高くなります。
このように参入する市場の難易度をまず理解した上で、現実的な参入方法や、集客の手法を検討していく必要があります。
オウンドメディアへ集客する場合の、集客経路の設計方法はこちらの記事をご覧ください。
※「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust(信頼)」の頭文字をとったもの
自社にとってオウンドメディアは意味あるの?必要かを見極める3つのポイント
続いて、自社にとってオウンドメディアが必要かどうかを見極めるポイントをご紹介します。
オウンドメディアが必要かを見極める3つのポイント
- 1.ターゲット顧客が検索エンジンを使っているかを調査する
- 2.競合企業の力の入れ具合を調査する
- 3.費用対効果を3年でシミュレーションする
1.ターゲット顧客は検索エンジンを使っているかを調査する
先述の通り、自社が属する業界に検索エンジンを使っている人がいなければ、オウンドメディアを運用しても成果を得られない可能性があります。まずは集客のメインとなる、検索エンジンからのアクセスを最大限活かせるかどうか調査してみましょう。
キーワードプランナーやラッコキーワードなどのツールを使用すれば、自社サービスに関するキーワードがどの程度検索されているかをチェックできます。
例えば、「英会話」に関連するキーワードではこれだけ多様なキーワードが検索されており、オウンドメディアを立ち上げると多くのユーザーを集客できることが予測できます。
2.競合企業の力の入れ具合を調査する
業界とオウンドメディアの相性を見極めるために、競合他社がオウンドメディアに対してどの程度力を入れているのかチェックするのもおすすめです。
その際に、次のポイントをチェックしておきましょう。
- 1.競合は現在オウンドメディアやSEOに力を入れているのか
- 2.どんなキーワードを狙い、どんなコンテンツを作っているのか
- 3.月間およびトータルでどれくらいのコンテンツが公開されているか
上記に注目して、競合の傾向を見てみましょう。
もしも、競合が長年に渡り、数百本〜数千本のコンテンツを投下しているならば、効果が十分に出ていると判断できるでしょう。一方でまだオウンドメディアに取り組んでいる競合がいない場合は、過去にやったがダメだったのか、競合がまだ取り組んだことがないのかのいずれかです。
3.費用対効果をシミュレーションする
例えば、平均単価が300万円の商材を販売しているBtoB企業がオウンドメディアに取り組む場合のシミュレーションを考えてみましょう。
月間6万人の訪問者を獲得できた場合には、次のようなシミュレーションになります。
オウンドメディアのシミュレーション例
- 訪問ユーザー数:6万
- CVR:0.5%
- お問い合わせ数:300件
- 商談化率:30%
- 商談数:90件
- 受注率:30%
- 受注数:27件
- 平均単価:300万円
- 売上:8,100万円
最終売上が8100万円となるのであれば、SEOやコンテンツ制作に1,000万円かけたとしても売上ベースでは7倍のリターンが得られることになり、リターンのある投資として考えられます。
逆に、シミュレーションの結果、回収が見込めない場合には「オウンドメディアをやる意味がない」と判断することもあります。どれくらいのリターンがありそうかを判断するには競合性や商品との相性など複数の要素を調査する必要があるため、立ち上げでお悩みの方は、シノビクスまでお問い合わせください。
また、オウンドメディアのKPIやシミュレーションの考え方についてはこちらの記事もご覧ください。
オウンドメディアの成功事例2選
ここからは、シノビクスが携わってきたオウンドメディアの成功事例を2つご紹介します。
弊社のお客様がオウンドメディアにどんな意味を見出しているかを参考にしてみてください。
- unname Knowledge Blog…受注につながるリードの獲得に成功した事例
- シャドテンラボ…運用を内製化してアプリの集客にも繋がった事例
unname Knowledge Blog(株式会社unname)
企業名 | 株式会社unname |
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オウンドメディア | https://www.shadoten.com/lab/ |
事業内容 | BtoBマーケティング支援 |
コンテンツ | BtoBマーケティングノウハウ、ニュース記事 |
記事本数・公開頻度 | 約40記事(2023年4月時点)/月3~4本 |
unname Knowledge Blogの特徴
- BtoBマーケティング関係のキーワードで上位表示
- SEOを狙ったノウハウ記事、ニュース記事をバランスよく配信
- 受注につながるリードの獲得に成功
シノビクスが過去にご支援した、BtoBマーケティングの支援をおこなう株式会社unnameのオウンドメディアです。BtoBマーケティングのコンテンツに特化し、ストック型のノウハウ記事、フロー型のニュース記事をバランスよく配信しています。
unnameがBtoBマーケティング支援サービスをスタートしたばかりの頃は、SEOは一切行っておらず、サービスサイトからの問い合わせもほとんどありませんでした。そこで、まずはBtoBマーケティングに関する特定のキーワードを狙ったコンテンツを作成し、立ち上げ数カ月で1位を獲得するコンテンツも生まれました。
結果として、検索上位のページから実際に問い合わせが来て、次々と新規商談、受注につながるようになりました。
検索結果において、競合大手のサービスとも肩を並べられたことで、会社のブランディングにも良い影響が及びました。
詳細は以下の記事をご覧ください。
シャドテンラボ(株式会社プログリット)
企業名 | 株式会社プログリット |
---|---|
オウンドメディア | https://www.shadoten.com/lab/ |
事業内容 | サブスクリプション型英語学習サービス |
コンテンツ | 英語を勉強中の人へ向けたコンテンツ |
記事本数・公開頻度 | 約70記事(2023年9月時点)/月3~4本 |
シャドテンラボの特徴
- 社内の英語コンサルタント経験者や英語に精通したライターが執筆していて品質が高い
- 立ち上げから6カ月でオウンドメディアの内製化に成功
- アプリの集客に成功
社内ライターが0人の状態から、6カ月でオウンドメディアの内製化に成功した事例です。同社では、サブスクリプション型の英語学習サービス「シャドテン」を広めるために良質なコンテンツを持つオウンドメディアが必要であるという考えのもと、質を保つために内製化することをゴールにしていました。
そこで、「シャドテンラボ」の戦略立案から社内のコンテンツ制作フローの整備、ライターの採用に至るまで、内製に必要なことをご支援しました。
現在では社内の英語コンサルタント経験者が実際に執筆を担当していて、品質の高いメディアになっています。また、現在では同社が運営する「シャドテン」というアプリの集客にも繋がるようになりました。
詳細は以下の記事をご覧ください。
自社にとってオウンドメディアが意味あるかを判断するには専門家を頼ろう
自社にとってのオウンドメディア運用の価値を判断するには、
- 長期的にリターンがあるか
- 自社のターゲットにマッチするユーザーを獲得できるか
- 検索エンジンでの集客を見込めるか
- 競合と比較した時に自社が勝てる見込みがあるか
といったことを調査し、投資対効果が見込めるかどうかをシミュレーションすることが重要です。
今回ご紹介したポイントをもとに自社で判断することは困難を伴うかと思いますので、専門家に相談することをおすすめします。
XINOBIX(シノビクス)は100サイト以上の運営経験のあるコンサルタントが、御社でオウンドメディアを立ち上げるべきかをアドバイスしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
オウンドメディアの立ち上げ・改善をご検討の方はこちら