オウンドメディアの戦略とは?策定の方法・ステップと成功事例を紹介
オウンドメディアで成果を出すには、明確な戦略設計が重要です。
特に、「誰に(Who)」「何を(What)」「どのように(How)」「どのくらい(How much)」の2W2Hを明確にすることで、限られたリソースで最大限の成果を実現できます。戦略がないまま運営を始めると、コンテンツを量産しても成果につながらず、予算と時間を浪費する恐れがあります。
この記事では、オウンドメディア戦略の基本的な考え方から、具体的な策定ステップ、実際の成功事例までを詳しく解説します。戦略の全体像を理解したい方や、何から始めればいいか悩んでいる方は、参考にしてみてください。
目次
オウンドメディアにおける戦略とは「2W2Hを決めること」
一般的に戦略とは、限られたリソースで最大限の成果を出すための判断基準となるものです。オウンドメディア運営でも同様で、むやみにコンテンツの量を増やすことが正解とは限りません。
オウンドメディアにおける優れた戦略とは、できるだけ少ないコンテンツとリソースで、事業成果につながるコンバージョンを獲得できるものだと考えています。
XINOBIX(シノビクス)では、以下の2W2Hを設定することを「オウンドメディアの戦略設計」と呼んでいます。
- Who:誰に(顧客ペルソナ、カスタマージャーニー)
- What:何を(どのような商品、コンテンツを届けるか)
- How:どのように(集客経路、SNS、SEO、コンバージョン導線)
- How much:どのくらい(KPI、コンテンツ量、人員)
2W2Hを定めることで、目的に対するオウンドメディアの方向性が定まります。
オウンドメディアに戦略が必要な理由
オウンドメディアに戦略が必要なのは、リソース(予算・時間・人)を事業成果に直結する施策へ集中させ、投資対効果を最大化するためです。戦略がないまま運営を始めると、方向性が定まらず、成果につながらない記事を量産してしまう恐れがあります。
特に、立ち上げ初期のフェーズでは、成約に近い「今すぐ客」にターゲットを絞り込むことが求められます。ターゲットを広げて「そのうち客」向けのコンテンツまで網羅しようとすると、アクセス数は増えてもリード獲得にはつながりにくいためです。
先述した「2W2H」を、まずは「今すぐ客」に対して明確に定義することで、最短で成果を出すための具体的な施策を立案できます。戦略を定めることで「やるべきこと」と「やらないこと」を明確にでき、無駄な労力を削減できるでしょう。
例えば、検索ボリュームが大きくても成約につながりにくいキーワードは避けるなど、優先順位をつけた判断が可能になります。
ステップ0. オウンドメディア運営目的の策定
ここからは、オウンドメディアの戦略策定の方法をステップで解説します。
戦略策定の前段として、先にオウンドメディアの運営目的を定める必要があります。目的が明確でなければ、どのような戦略を立てるべきかを判断できません。
オウンドメディアの目的は主に、新規リード獲得やブランド認知向上、既存顧客のエンゲージメント強化などです。目的に応じて、ターゲットとする読者層や作成するコンテンツの内容は異なります。
運営目的の詳しい策定方法は、「オウンドメディアを運用する目的」で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
ステップ1. オウンドメディアの基本方針策定
まずはオウンドメディアの基本方針を策定するための考え方や手法を紹介します。
今回は、「建設業界で使う構造計算システムを開発する企業」のオウンドメディアを例として、具体的に説明します。自社に当てはめてイメージしながら読み進めてみてください。
提供価値の定義
はじめに、オウンドメディアでどのような価値を提供するかを決めます。
提供価値には、事業のバリュープロポジションを設定するのが良いでしょう。バリュープロポジションとは、自社が提供できて競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値を指します。
バリュープロポジションを明確にするには、3C分析を使います。
3C分析とは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から市場を分析する手法です。顧客のニーズを洗い出し、競合が提供していない価値を見つけ、自社の強みと掛け合わせることで、独自の提供価値を定義できます。

例えば、構造計算システムを開発する企業の場合、以下のような分析が考えられます。
| 分析項目 | 内容 |
|---|---|
| Customer(顧客) | 建設業界の設計者。計算ミスを減らし、業務効率化したいと考えている |
| Competitor(競合) | 機能は充実しているが、導入後の運用支援や業務改善の提案が手薄になっている |
| Company(自社) | 長年の開発実績から、設計業務の課題と解決策を熟知している |
この分析をもとに、「設計業務の実運用に関する効率化ノウハウを提供する」という独自の価値を定義できます。
ターゲットとその悩みを定義
次に、どのような顧客をターゲットにするかを定めます。
ペルソナを3パターンほど作成し、それぞれの行動と思考、感情を洗い出しましょう。ペルソナとは、ターゲットとする顧客の具体的な人物像のことです。年齢や役職、抱えている課題、情報収集の方法などを詳細に設定します。
例えば、構造計算システムを開発する企業であれば、「大手ゼネコンの設計部長」「中小設計事務所の社長」などが考えられるでしょう。

次に、カスタマージャーニーを作成し、顧客の行動と思考、感情を洗い出します。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化したものです。
各購買フェーズで顧客がどのような情報を求めているか、どのような感情を持っているかを整理することで、適切なコンテンツを企画できます。
本ステップ以降で考えたことは、カスタマージャーニーに記入していきましょう。

カスタマージャーニーの詳しい作成方法は「オウンドメディアのカスタマージャーニー」をご覧ください。
チャネル選定
次に、流入経路を設計します。流入経路には大きく分けて、SEOとSNSがあります。ターゲット層がどのように情報収集しているかを考えましょう。
BtoBならネット検索、BtoCならSNSが多いなどのセオリーもありますが、実際に顧客にインタビューやアンケートを実施するのがおすすめです。自社が知らなかった情報収集手段が見つかることもあります。

しかし、実はSNSで情報収集している人が多そうだと分かった場合でも、SEO流入を選定するケースが多い傾向にあります。筆者の経験上、SNSに投稿した記事が読まれることは多くありません。SNSで情報収集している人たちが見ているのは、SEO記事ではなく、SNS用の投稿や動画がメインです。
このことを踏まえると、オウンドメディアの流入経路を設計するときは、SEOやその延長にある生成AI(ChatGPTなど)からの流入を狙うほうが現実的です。ここまで決まったら、カスタマージャーニーに流入チャネルを書き込みましょう。
キーワード選定
オウンドメディアで作成する記事案(キーワード)を決めます。まず、顧客が検索しそうなキーワード一覧をラッコキーワードなどのツールで集めましょう。例えば、「構造計算」「建築確認」「設計ソフト」など、自社の製品やサービスに関連する単語を起点に、派生するキーワードを洗い出します。
次に、カスタマージャーニーに各購入フェーズでどのような記事案(キーワード)が良さそうかを当てはめます。
認知段階では「構造計算とは」のような基礎的なキーワード、比較検討段階では「構造計算ソフト 比較」のような比較検討系のキーワードが適しています。各フェーズに適したキーワードを配置し、顧客の購買プロセス全体をカバーしましょう。

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ステップ2. オウンドメディアの成果管理体制の構築
基本方針が固まったら、次はオウンドメディアの成果管理体制を構築します。ここでは、コンバージョンポイントの設計とKPIの設定、運営体制の構築を解説します。
コンバージョンポイント設計とKPI設定
まず、何をコンバージョンポイントに設定し、どのように契約まで導くかを設計します。
コンバージョンポイントは、競合記事なども見ながら、ホワイトペーパーのダウンロードやセミナー参加、メルマガ登録などを検討しましょう。BtoB企業の場合、いきなり問い合わせや資料請求を求めるのはハードルが高いため、まずは軽いアクションを設定するのが効果的です。
例えば、「構造計算の効率化チェックリスト」のようなホワイトペーパーをダウンロードしてもらい、メールアドレスを取得します。その後、ステップメールやセミナー案内を通じて、徐々に商談へとつなげていきます。
次に、目的に即したKPI設定を行います。KGI(最終目標)をもとに、KPI(重要業績評価指標)を逆算しましょう。
具体的には、AhrefsなどのWebサイト調査ツールを使い、競合サイトの流入数を調べ、現実的な目標数値を算出します。例えば、KGIが「年間20件の新規受注」の場合は、以下のようなKPI設定になるでしょう。
なお、下記の表は以下の係数で計算した場合の目標数値の例です。
- 受注率(商談→受注):15%
- 商談化率(リード→商談):30%
- リード獲得率(流入→リード):0.5%
| 目標 | 年間 | 月間 |
|---|---|---|
| 受注数 | 20 | 2(=20÷12) |
| 必要商談数 | 134(=20÷15%) | 12(=134÷12) |
| 必要リード数 | 447(=134÷30%) | 38(=447÷12) |
| 必要セッション数 | 89,400(=447÷0.5%) | 7,450(=89,400÷12) |
これらの指標を定期的にモニタリングし、PDCAサイクルを回していきます。
KPIの詳しい設定方法は「オウンドメディア運用のKPI設計」で詳しく解説しています。
運営体制構築
オウンドメディアの運営体制を構築します。編集長1名、ディレクター1名、ライター3名など、必要な人員を洗い出しましょう。
このとき、人員をどのように確保するかも考えます。主に以下の3つの体制案があります。
- 内製する
- 外注する
- 内製と外注を組み合わせる(ハーフ内製)
ハーフ内製とは、XINOBIX(シノビクス)が提唱している体制で、戦略設計や企画は内製し、ディレクションや執筆・編集などの制作業務は外注する体制です。社内にノウハウを蓄積しながら、専門性の高いコンテンツを効率的に制作できます。

内製の場合、自社の専門性をコンテンツに反映しやすい一方で、運用のノウハウやリソース不足が課題になります。
完全外注の場合、クオリティの高いコンテンツを安定的に制作できますが、コストが高くなりがちです。XINOBIX(シノビクス)では、ハーフ内製を「両者のメリットを活かせる現実的な選択肢」として推奨しています。
運営体制の詳しい構築方法は、「オウンドメディアの「ハーフ内製」とは」をご覧ください。自社の状況に合わせて、最適な体制を作りましょう。
ステップ3. オウンドメディアのコンテンツ制作
成果管理体制が整ったら、実際にコンテンツを制作していきます。コンテンツ制作は以下の手順で進めます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 1. 検索意図の深掘り | ・キーワードで検索するユーザーが何を知りたいのか、どのような課題を解決したいのかを分析する ・例)「構造計算ソフト 比較」の場合、複数のソフトの機能や価格を比較検討したい意図が読み取れる |
| 2. 構成の組み立て | ・検索意図に基づき、見出しと盛り込む情報を設計する ・競合記事を分析し、網羅すべき情報を確認する ・自社独自の視点や情報を加え、差別化したコンテンツを企画する |
| 3. 執筆・校正 | ・構成案に沿って本文を執筆する ・専門用語は読者の理解度に応じた説明を加える ・誤字脱字や論理の飛躍がないか、読みやすい文章になっているかを確認する |
| 4. CMS入稿・公開 | ・CMSに記事を入稿・公開する ・タイトルタグやメタディスクリプション、見出しタグなどを適切に設定する |
構成の作成方法や記事の執筆方法は、「記事構成の作り方と5つのコツ」と「オウンドメディアの記事制作7ステップ」で詳しく解説しています。
ステップ4. オウンドメディアの数値管理

コンテンツを公開したら、効果測定とモニタリングが必要です。データに基づいて改善を繰り返すことで、オウンドメディアの成果を最大化できます。主に以下のツールを活用します。
| ツール | 主な測定内容 | 改善アクション例 |
|---|---|---|
| Google Search Console | 検索キーワードの順位、クリック率、表示回数 | 表示回数は多いがクリック率が低い→タイトルやメタディスクリプションを見直す |
| Google Analytics | ユーザー行動、滞在時間、セッション数、コンバージョン率 | コンバージョン率が低い→CTAボタンの文言を改善する |
| Microsoft Clarity | スクロール深度、クリック箇所(ヒートマップ) | ページ冒頭で離脱が多い→冒頭に結論を持ってくる |
これらのツールで定期的にデータを確認し、改善ポイントを洗い出しましょう。リライトチームを発足し、検索順位が下がった記事や情報が古くなった記事を優先的に更新することで、オウンドメディア全体のパフォーマンスを維持できます。
Microsoft Clarityの活用方法は、次の動画をご覧ください。実際の画面を見ながら、具体的な分析手法を解説しています。
オウンドメディア戦略の成功事例
ここからは、XINOBIX(シノビクス)が戦略設計から支援したオウンドメディアの成功事例を紹介します。オウンドメディア立ち上げからの事例だけでなく、長年運用している状態からでも戦略を立て直し、成果が出た事例もあります。自社に応用できそうな部分を探してみてください。
株式会社グッドパッチ

株式会社グッドパッチの事例からは、既存コンテンツの活用戦略がわかります。
UI/UXデザインのリーディングカンパニーとして知られる同社は、10年以上にわたり「Goodpatch Blog」を運営してきました。デザインに関する質の高い情報発信で業界内外から評価を得ていたにもかかわらず、主要キーワードでの検索順位が伸び悩んでいました。
そこでXINOBIX(シノビクス)は、長年蓄積されてきた記事に着目。ゼロから作り直すのではなく、既存コンテンツの制作プロセスを以下のような戦略で改善しました。
- クライアントの課題やソリューションに基づくキーワード選定
- 検索ボリュームを考慮したキーワードの優先順位付け
- 生成AIを活用してグッドパッチ独自のノウハウを記事に反映
その結果、「UIデザイン」「UXデザイン」「UXリサーチ」といった主要キーワードで検索結果1位を獲得しました。Webサイト全体のインプレッション数も大幅に増加し、着実にリード獲得につながっています。
詳しい事例は以下のページをご覧ください。
株式会社CDエナジーダイレクト

株式会社CDエナジーダイレクトの事例からは、ユーザー視点に基づいた戦略の重要性が分かります。
同社は、首都圏を中心に家庭・法人向けの電力・ガスを提供しています。これまでは、顕在層や明確層向けの有料広告で顧客を獲得してきました。しかし、同業他社との競争の激化を感じ、まだ電力会社の切り替えを検討していない潜在層とも接点を持つ必要性を感じていました。
XINOBIX(シノビクス)はオウンドメディアの立ち上げから支援を開始。まずは、顧客インタビューなどを通じて潜在層のニーズを分析し、ユーザーが本当に必要としている情報を提供する戦略を策定しました。
戦略が功を奏し、リリースから5ヶ月ほどで10万PVまで成長。ユーザー視点に基づいたコンテンツが潜在層の共感を呼び、コンバージョン数も右肩上がりに増加しています。戦略的にオウンドメディアを運用した結果、有料広告よりも費用対効果が高いケースがあることも判明しました。
詳しい事例は次のページを参考にしてください。
ジャグー株式会社

ジャグー株式会社の事例からは、なかなか成果につながらないオウンドメディアでも、正しい戦略策定と実行支援で成果を出せることがわかります。
同社は、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのECモール運営を代行しています。過去に社内で100記事ほど書いていたものの、期待した効果が出ていませんでした。
XINOBIX(シノビクス)では、実際の顧客像に近い方へのインタビューを通じて、ECモール運営者が抱える課題を洗い出し、詳細なペルソナを設計。分析結果をもとに、キーワードごとに「どのフェーズで、どのようなコンテンツを設計し、何を狙うべきか」を明確にした戦略を策定しました。
単なる記事の量産ではなく、ターゲットユーザーの課題解決に焦点を当てたコンテンツ戦略です。

この戦略に基づき、コンバージョンに近い顕在層や準顕在層を重視した記事制作や導線設計を実施。その結果、月間アクセス数は6倍、受注件数は前年比15倍を実現しました。
ジャグー株式会社のオウンドメディアが成果を出せた事例は、以下のページをご覧ください。
株式会社アプラ

株式会社アプラの事例からは、綿密な戦略設計により、短期間で高い投資対効果が得られるオウンドメディアを構築できることが分かります。
同社は音楽活動支援プロジェクト「Music Planet」などを展開しています。売上の大半が広告経由だったため、広告に依存しない集客方法を模索した結果、オウンドメディア運用を開始しました。
XINOBIX(シノビクス)では、成果につながるキーワード群を特定し、コンテンツの質で勝負する戦略を立案。加えて、どのような検索キーワードからの流入が質の高いリードにつながっているかを分析しました。
この戦略に基づき、インタビューに基づく独自コンテンツの制作、CTAの改善やランディングページのABテストなどを実施。その結果、上位表示やコンバージョン率の向上に成功し、アクセス数は支援前の約30倍、月間ベースで投資対効果500%を実現しました。
特にWebサイトのリリース初月からコンバージョンが発生したことで、投資対効果を社内で説明しやすくなり、継続的な改善が続けられています。
詳しい事例は、以下のページを参照ください。
XINOBIX(シノビクス)はオウンドメディアの戦略立案からサポートします
オウンドメディアの戦略は、2W2Hの定義から始まり、成果管理やコンテンツ制作の体制づくり、数値管理までを一貫して設計することが必要です。
しかし、これらを自社だけで実施するのは簡単ではありません。戦略設計にはSEOの知識が求められ、社内にノウハウがない状態で始めると、試行錯誤に多くの時間とコストを費やす恐れがあります。
XINOBIX(シノビクス)は、100件以上のオウンドメディア支援実績があり、戦略立案からコンテンツ制作、運用改善まで一貫した支援が可能です。
貴社の事業課題や目的に合わせて、最適なオウンドメディア戦略を設計します。オウンドメディアの立ち上げや運営にお悩みの方は、XINOBIX(シノビクス)にお任せください。
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